sa Sound Arts vol.2
XEBEC SoundCulture Membership Magazine
サウンドアーツの復活
1995年1月17日の午前5時46分、阪神地方を襲った20秒間の振動は私達の生活か
らいろいろなものを奪いましたが、いろいろなことを考える機会を与えてもく
れました。
ジーベックへの交通手段であるポートライナー (モノレールのように高架を走
る電車) や神戸大橋は大きな打撃を受け、全面復旧はかなりかかるとのことで
す。ジーベックが1、2階に位置するPIビルは親会社のTOA (株) の本社ビルで
もあります。建物本体はほとんど被害がありませんでしたが、液状化現象で周
囲の地盤が40cm以上も沈下し、ガスや水道などの給排管が絶たれて暖房や上下
水道が使えなくなりました。一方、ホール内ではグリッドがブランコのように
激しく揺れスプリンクラーを折ってしまい、ホールに水が降り注いだようです。
電動昇降する舞台をはじめ電気系統の設備は漏電等の被害を受けました。しか
しテレビで報道されていた三宮や長田等の状況にくらべれば、被害は予想外に
少ないものでした。
問題は交通アクセスです。三宮の中心部から1時間も歩かないとたどりつけな
いようなところでコンサートを開催するのは現実的には考えられません。
こんな時に、ジーベックとして何が出来るのでしょう?人間が作ったもの、ビ
ルや道路、橋や港は壊れてしまいました。いくら気に入った食器でもきっとい
つか割れてしまうのです。陶芸家は割れるものを作り続け、建築家は建物を作
ります。壊れては作り、作っては壊れる。なぜ壊れてしまうものを何度も作る
のでしょうか?
今年は、コンミュの力を借りBBS 上での活動を行ない、また遅れに遅れて罪の意識に苛
まれ続けてきたSoundArts もニュースレターとして発行していきます。人間の創造力に
関わる仕事を持てたことに感謝して、みなさんとのコミュニケーションを進めていきた
いと思っています。
*スタッフは全員無事です。いろいろな方々にお見舞をいただきました。この場を借り
て感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。
*6月のはじめにジーベックホールでオールナイトのコンサートを開催する計画も立て
ています。素晴らしい音楽を、素晴らしい皆さんと存分に楽しめることを願っています。
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